IFSCC ブラジル大会 2024 口頭発表応用研究部門最優秀賞受賞
研究タイトル
『ウルトラマリンブルーの赤色光反射: 美肌効果への影響』
一階文良 ・ BLAKSLEY Carl ・ 林 礼奈 ・ JASPERS Alexander
(日本ロレアル(株) R&Iセンター)
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※英語資料となります
北アジアの明るい肌色の方向けに、ファンデーションの黒色顔料として使われてきた黒色酸化鉄の代わりに、ウルトラマリンブルーという青色顔料を使う研究を行いました。
通常、ファンデーションの色は白、赤、黄、黒の顔料を混ぜて作られますが、黒の代わりにウルトラマリンブルーを使っても、色の仕上がりに差はありませんでした。しかし、ウルトラマリンブルー入りのファンデーションは、肌の質感をより美しく見せる効果があったのです。
さらに、分光分析の結果、その秘密は、ウルトラマリンブルーが持つ「赤色の光を反射する力」にあることが分かりました。この反射はごくわずかで、肉眼では色の違いは全く分かりません。しかし、特殊な機械で測定すると、このわずかな赤色光の反射が、シワを目立たなくし、肌を均一に整え、まるで美肌フィルターをかけたような効果を生み出していることが分かりました。
肌色の人工皮膚(Bioskin)にFDT_B(ファンデーションB)、FDT_BbyU(ファンデーション ウルトラマリンブルー)を塗布し、
乾燥させた後の反射スペクトル(光がどのように反射されるかを表すグラフ)を測定しました。
ただし、ウルトラマリンブルーを使ったファンデーションと従来のファンデーションの色味の違いはごくわずかで、肉眼では見分けがつきません。反射スペクトル(※光の反射具合をグラフにしたもの)の違いも、この赤色光の反射領域だけでしか確認できません。
しかし、このわずかな赤色光の反射が、肌の見え方を大きく改善する効果をもたらします。この発見は、赤色光が肌の見た目を良くするという既存の知見を裏付けるものです。
赤色の光には肌を美しく見せる効果があることは既に知られていましたが、ウルトラマリンブルーを使うことで、この効果をファンデーションで実現できることが初めて証明されました。他の青色顔料(プルシアンブルー、コバルトブルー、インディゴブルーなど)も調べましたが、化粧品で使える無機顔料の中で赤色光を反射するのはウルトラマリンブルーだけでした。
この発見は、今後のファンデーション開発、特に明るい肌色の方向けの製品開発に革新をもたらすでしょう。